ナス科の地上絵

社会人です。多肉とナス科とキジカクシ科とヒガンバナ科をメインで育てています。山に登ったり、森を歩いたりしてリクウズムシとかリクウズムシとかの生物観察とかもしてます。旅行も行きます。バイクも乗ります。Linuxも扱います。写真も撮ります。

カテゴリ: マンドラゴラ Mandragora spp.

去年実生したMandragora caulescensが約一年経過しましたので報告です。
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一番成長したのでこのサイズです。直径3mmの長さ15㎝くらいです。これを成長遅いと見るか早いと見るか…マンドラゴラ的には普通なのでは?という気もしますね。
管理なんですけど特に難しい事はせずに通年室内の窓辺に置いてありました。何本か秋口に枯れたのは暑さによるダメージが溜まっていたのかもしれません。枯れる時は根からダメになってる感じがありました。地上部の上の方から枯れていく場合はただ単に休眠期でした。

地腰部が枯れたので掘り出してみると既に萌芽が始まっています。休眠期は実質一か月ありませんでした。多分完全室内栽培なので休眠に入る温度になってすぐに休眠から覚める温度になってしまったのでしょう。そう考えると一歩間違えると自発休眠と多発休眠の間を彷徨って目覚める事が出来なくなってしまいそうで怖いですね。怖くても来年以降も同じ管理をするしかないのですけど。
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ナス科の変なの育てていて得られた感想なんですけど、多分直根性の根茎ナスビは大根と同じで塊根っぽい部分の上の方はただの胚軸っぽいです。根っぽい部分との違いとしては皺が寄ってます。多分最初双葉の時には地上に出てきている部分が地下に潜って行くときに皺ができるのでしょう。

地上部を見ていても全くマンドラゴラ感が無かったマンドラゴラカウレスケンスですが、根はかなりマンドラゴラっぽさが有って良かったです。多分間違えた種子を送られているという事は無さそうです。むしろ中国奥地で採集されたマンドラゴラカウレスケンス以外のナス科塊根植物だとしてもマンドラゴラカウレスケンス以上の珍しい植物なのでそっちでも当たりと言って良いでしょう。

高山のナス科は良いですよ
Przewalskia属、Anisodus属、Physochlaina属…ユーラシア大陸だけでもMandragora属なんて普通種に見えるような属が沢山あります。更に南アメリカにはJaborosa、そして200種を超える塊根Solanum達。ぜひ誰か日本に持ってきて欲しいです。種子以外は持ち込み不可能なので難しいとは思いますが…。

中国に頼んでいた種子が届きましたよ。(無事届くならもっと沢山頼みたいですね)
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開封した時点で明らかに注文数よりも袋が多いのであ~おまけしてもらえたんだな~って思いつつせめて種のパッケージングくらい統一しなよと思いました。おまけは種が不明なので購入したサイトで調べてみるとテンナンショウの雑種?と青い花の二年草でした。テンナンショウの方は面白そうです。二年草は場所とりそうなので悩みます。
ちなみに開封すると数も適当でした。表示より多めに入っていたので得をしましたが、これでいいのか?という感じです。

そんな事よりも今回メインで頼んだのは中国のナス科たちです。
一つ目は日本でも名前だけは(こういう物好きには)知られている
クモイヒトニナス Mandragora caulescens
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種子はかなりマンドラゴラっぽいですね。マンドラゴラ属では唯一の有茎種です。
販売者は栽培されてないけど他のナス科と同じで種から育てるのは難しくないよ~って言っているけれど標高3000over産ですからね・・・・。日本の夏とか簡単に死にそうです。実際日本で二年以上継続して栽培している情報見当たらないです。 
意外とヨウシュハシリドコロも原産は亜寒帯だけれども夏も普通に茂っていたので株によっては大丈夫かもしれませんが。
 夏は室内に取り入れておくのが良いかもしれません。


そしてもう一つ 、こちらが今回の目玉である

Anisodus sp.
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勿論和名なんて存在しません。中国語では山莨菪属、サンロウトウゾク・・・。私の好きな植物を知ってる人は分かるかもしれません。そうです、莨菪とはハシリドコロの事です。ちなみにScopolia属-ハシリドコロ属は中国語で赛莨菪属です。
現在、中国にはScopolia属は自生していない事になっています。中国産Scopoliaと言われていた物は現在はAnisodus属又はMandragora caulescensのシノニムとなっています。
山莨菪属は日本語にするならヤマハシリドコロ属とでもなるのでしょうか。
実際生息地も日本のハシリドコロと比べてもかなりの標高に生息しているようです。つまり上のマンドラゴラと同様に日本は暑すぎる可能性が有ります。この属に関しては国内で栽培例が見つかりませんでした。

ベラドンナやヨウシュハシリドコロでナス科野草の種子の発芽に難を感じていたのですが、ナス科売ってる人がナス?ジベレリン処理が効果的!GA3!GA3!処理済み種子売るよ!って書いていたのでジベレリン処理してみました。ためしに濃度を変えていくつか蒔いて最適濃度を調べられるといいなぁと思いながらリスク分散してます。
処理の様子をダイジェストで
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 ジベレリンを溶かして・・・。
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種子用意して・・・。(右からMandragora caulescens Anisodus sp. Atropa belladonna)
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沈めて・・・
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 蒔く
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ナス科の変なやつの実生成績はこのケースが一番いいのでこれを使いました。
さて、どれだけ発芽してきてくれるでしょうか?一応まだ種子は残っているので失敗も許容できますが、Anisodus
については店の在庫は買い占めてしまったのでもう後はありません。
目指すは国内実生苗初開花です。

寒くなってきたのでうすうす冬を感じましていましたが、やっぱり植物は人間よりも敏感に冬を感じ取っている気がします。

植物たちは冬に向けて、一部の植物は既に来年の春に向けて動き出しているようです。 
 
北海道産の
コモチレンゲ Orostachys iwarenge var.boehmeri
はだんだんとキャベツみたいになってきました。
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原産が北海道なので東京の冬なんてへっちゃらだとは思いますが、ちゃんと冬支度はするようです。植物は一体何を基準に季節を感じ取っているのかいつも不思議に思います。

次に冬が成長期な植物です。

恋なすび Mandoragora autumnalis
ナス科のハーブ、媚薬の材料です。名前の通りこの植物からは媚薬が作れますが、危険な植物です。
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所謂秋咲きマンドラゴラですね。後半は半分嘘で半分本当です。ナス科のここら辺の奴が持つ毒はスコポラミンをはじめとして幻覚作用を持っており、健忘症を引き起こすという情報も有ります。トロパン系アルカロイドの持つ陶酔作用によって思考が弱っている様子から媚薬として使われたのでしょう。また、同様のナス科植物であるベラドンナは女性が瞳孔を拡散させ、目を大きく美人に見せる為に使われたと言われています。
ナス科の持つ毒は欲望を持った人を引き付けてしまうようです。そしてブログの題名の通り、私も可憐な花と多様な姿を持ち、様々なアルカロイドを生産するナス科が大好きです。綺麗な花には毒がある。死ぬまでに一度は体験してみたい毒草です。

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毎年順調に大きくなっていますが、植物はいつ枯れるか分からない物、早く花を付けて貰って次世代の育成をしたいですね。


そして今日はもう一種ナス科植物を

ヨウシュハシリドコロ Scopolia carniolica
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こいつは冬に向けて準備をしている植物でも冬に成長する植物でも無く、春に向けて芽が膨らんできている植物です。こいつは日本のハシリドコロと近縁な植物でハシリドコロと同様にスプリングエフェメラルの一種だと思われます。
ちなみにハシリドコロもこの時期にはもう芽が膨らんできています。冬の終わり、雪解けと同時に芽を出して落葉樹が葉を茂らせる前には休眠に入ります。きっと今から準備をしておかなくては間に合わないのでしょう。この仲間はいかに長く葉を茂らせておけるかが栽培の鍵だと思います。

長くなりましたが今回はここまでです。
ナス科はいいぞ

夏から芽が出ていたけれどもやはり環境が合っていなかったのか成長の悪かったマンドラゴラが本格的に成長を始めました。
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毎年出てくる葉が大きくなっています。
しかし徒長してしまったために
ロゼットの位置が根から直接ではなく茎が出来てしまっています。
マンドラゴラは切り戻しをしても大丈夫な植物なのか分からないと怖くて切り戻しできないので少しバランスが悪いままになっています。 

マンドラゴラが成長してきましたが、去年暗いところで保管していたので徒長してしまっていました。
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この写真を見ればわかりやすいと思います。
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マンドラゴラって切り戻ししても大丈夫なんでしょうか・・・
知ってる人いたら教えてください。 

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